■連載「教育と心理」   浅野良雄(心理カウンセラー・桐生市)       
 
●1 ピグマリオン効果
 私が、親として、またカウンセラーとして子どもに向き合う時、いつも思い出す言葉に 「ピグマリオン効果」というのがあります。
 教育学の中で言われる時は、「教師が抱く生徒への期待が、その生徒の学習結果に影響を及ぼすこと」を意味します。

 ある教育心理学者が、ある小学校の生徒たちに、特別なテストというふれこみで知能テストを行ない、そのテスト結果と関係なく選んだ子どもについて「この子は今後伸びるはず」というコメントを教師に与えました。その後、何回かテストを行い、教師にコメントを伝えた子どもたちとそうでない子どもたちのIQを比較したら、両者の間にはっきりした差が出ました。

 このような現象が起こる理由として、「伸びる可能性があるという予言を与えたことによって、無意識のうちにも、態度などを通して教師の期待が子どもに伝わり、それによって子どもの自己概念にも変化が生まれ、自信、意欲が生じた」という解釈が考えられます。

 これをピグマリオン効果と呼ぶのですが、これは、女性の彫刻像に恋して、それを現身に変えたいと乞い願ったピグマリオン王が、ついにその願望を果たしたという、ギリシャ神話の故事に喩えて名付けられたものです。

 言い替えれば、「人はその人にとって重要な意味をもつ人の期待にそうようになる」ということです。これは、教師、生徒間だけでなく、親子の間にもあてはまることではないでしょうか。

 ちなみに、ミュージカルや映画で有名な「マイ・フェア・レディ」は、バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」が原作になっているそうです。

参考文献:国分康孝編『カウンセリング辞典』誠信書房),上野一彦編『学習障害児の相談室』有斐閣

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