●やる気とごほうび
(浅野 良雄、心理カウンセラー、桐生市、「共育つうしん」68号、
                        2003年2月掲載)

 子ども、特に幼児に対して、意欲を高める(らしい?)手段として教師や親がよく使うのが「ごほうび」です。時々、「ごほうび」の是非が論じられますが、すでに、社会心理学者のレッパ−らが、実際の保育場面で、ごほうびが意欲に及ぼす影響を研究していますので、それをご紹介しましょう。

 研究の対象は、絵を書くことが好きで、自由な遊び時間にも自主的に絵を描いている幼児たちです。
 幼児たちを3つの群に分けて、第1群には、あらかじめ、良く描けたらごほうびをあげると約束しておきます。つまり「ごほうび予期」群。

 第2群は、特別ごほうびの約束はせず、「小さい子が絵を描くところが見たいので、絵を描いて欲しい」とだけ言っておきます。ただし、終了後に、第1群と同じごほうびを与えます。つまり「予期せぬごほうび」群。
 第3群は、ごほうびの約束もせず、描き終わっても実際ごほうびをあげない。つまり「ごほうびなし」群。

 このように群分けした幼児たちを一人ずつ部屋に呼んで好きな絵を描かせました。幼児たちが描きあげた絵の枚数では、「ごほうび予期」群の子どもが、他の群の子どもに比べて明らかに多かったのです。ただし、絵の質は低い傾向にありました。

 この体験の数週間後、実際の保育場面で、自由遊びの時間における子どもたちの行動が観察されました。その結果、「ごほうび予期」群の子どもは、他の群の子どもたちに比べ、明らかに自発的に絵を描く者が少なかったのです。彼らは以前より絵を描くことへの興味がへってしまったかのようです。他方、「予期せぬごほうび」群と「ごほうびなし」群では、そのようなことは見られませんでした。彼らは以前と同じように自由遊びの時間に喜んで絵を描いていました。

 ごほうびを期待して絵を描くことは、その後の自発的な興味を低下させてしまうらしいということが分かったのです。

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