●生徒を支える職員たち
(匿名、WEF会員、「共育つうしん」54号、2000年10月掲載)
 
 10月1日はK高校の運動会でした。K高校PTAでは、運動会と文化祭にPTAの地区委員会が中心になって母親たちの中からボランティアを募り、模擬店を出します。運動会でのPTAの活動はそれだけで、特に運動会そのものの運営や競技に参加するようなことはありませんので、本部役員には小学校PTAのように運動会そのものへの労力の手伝いといった仕事はありません。15人の本部役員中3人の女性は、正副地区委員長さんとともに模擬店のとりまとめや収益金の管理などで忙しく働いていましたが、男性役員は模擬店の設営・撤収の際の力仕事くらいで、競技の最中の長い時間ただ立って見ているだけです。

 ところでK高校の運動会は、完全に生徒たちの自治による自主運営です。7月に生徒50人からなる実行委員会が発足し、企画・準備から当日の運営までほとんど生徒たちの手で行われました。先生たちはほとんど口出しをせず、側面的な補助に徹していました。

 じつは、私の息子が今回の実行委員長を務めました。そんなわけで、一部始終とまではまいりませんが、実行委員会の準備の進めぶりをつぶさに見ることができました。代々の実行委員長は、大学入試に現役合格したことがないというジンクスがあるそうです。実際息子も、夏休みと9月の2か月以上、毎晩10時11時帰宅というような準備活動をしてきました。受験勉強などほとんどできない状態で、8月半ばを過ぎた頃には私も現役合格は無理だろうなと思うようになりました。

 PTA役員として、運動会は2年前にも経験をしていて、どのように運営されるのか、生徒たちにとってどんな意味を持つのかということはある程度知っていましたが、今回は長い間息子の動きを見ていて、これほどまでに広範に生徒による自主運営がなされている事実を知ったのは驚きでした。K高校の先生たちが生徒を信頼して温かく見守っていてくれることを強く感じました。

 運動会が終わり片づけが済んだあと、5時からファイアーストームが始まり、延々8時まで続きました。840人の全校生徒が参加します。先生もPTA役員もシャットアウトして生徒たちだけで行うのが伝統になっています。先生たちは安全を配慮して全員帰らずにいますが、職員室の明かりを消してひっそりとしています。われわれPTA役員は、校庭からは見えない、校舎裏にある同窓会館で模擬店の会計処理を終えた後、外へ夕食に行きました。学校へ戻ったのが7時半、ファイアーストームは金網のフェンスに掲げた大きな火文字に変わり、集会はまだ続いていました。

 先生の話しでは、長時間になると学校へ苦情の電話がかかってくるそうです。火文字の前で大声を上げて集会をしている生徒たちを、数人のPTA役員や先生と校庭の片隅から見ながら、真っ暗な事務室の中で、近所の大人からの電話に応対してくださっている学校事務員の姿を思い浮かべ、つくずくわが子をこの学校へ入れて良かったと感じた次第です。

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