●止めることから始めよう
(浅野良雄、「共育つうしん」46号、1999年6月掲載)
私たちの経験の中で、始めるよりも止めることの方が難しい場合が多々ある。たとえばPTA行事。始める時は、良いことだからと元気良く始めるが、時の流れと共に必要性が低くなる場合がある。しかし、なかなか止められなくて、行事は増える一方。その場限りの形式的な内容にならざるを得ない。そして多忙を極めて、新しいことを始めるのを躊躇する。(少々穿った見方をすれば、前例のないことを始める際に躊躇する心理には、一度始めたら止めるのが難しいことを無意識に知っているからというのもあるだろう)
私が幼稚園のPTAに数年関わっていた時、数年来の懸案事項に、県幼P連主催球技大会の継続是非の問題があった。県単位の会員の親睦と楽しみの機会として価値がなくはないが、わざわざ遠くから一カ所に集まる程の意義があるのかという疑問が以前からあがっていた。他にも、運営担当園の想像を上回る苦労や練習の過熱による怪我の問題等、会議が開かれるたびに議論されていた。しかし、会長はじめ本部役員が毎年替わるので止めるタイミングが難しい。また、それに代わる行事がないと予算が残ってしまうという問題?もあり、なかなか前進しなかった。たまたま私が県の本部役員になる機会があって、その年、一年かけて会長さんを後押しして、少し強引?に翌年の総会で球技大会の廃止を本部として提案し、結果的には難なく可決された。
思えば、私はこれまでに、いくつもの会や行事を止めることに直接関わってきた。その多くは、だんだん会員が少なくなって会の存続が危ぶまれるけれど、無念さと名残惜しさで止めるに止められないという事情だった。何回会議を重ねても、なかなか結論が出せない。最後には代表の私がいささか強引?に解散を決断した。
これらの経験の中から、私は「新しいことを始めるなら、まず勇気を持って何かを止めなくてはならない」ということを学んだ。今では、止めるということは最も創造的な行為なのではないかとさえ思っている。
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