●スクールカウンセラー雑感
(浅野良雄、心理カウンセラー、「共育つうしん」48号、1999年10月掲載)
昨年の9月から、市内のある高校に、スクールカウンセラーとして週2日勤めることになった。それまでは、担任や保健室の先生が生徒の悩みや相談の聞き役になっていたが、私が行くようになってからは、複雑な相談になるとカウンセラーにバトンタッチする体制になっている。もちろん、カウンセラー室に直接やってくる生徒もいる。
問題はカウンセリングの時間の設定である。通常、授業時間中は行なえないので、どうしても休み時間や放課後に集中する。さらに難しいのは、部活などをしていて、放課後も相談に来られない場合だ。もしその悩みの原因が部活での対人関係にあったりすると、部活を休んででもカウンセリングに来てもらいたいと思うのだが、部活を休んだことによっていっそう立場が悪くなったりしては意味がないのではないかと思うと、カウンセラーとしてもなかなか判断に迷う。きっと生徒も同じような気持ちなのだろう。
授業にしてもそうだ。緊急の場合は欠課になっても良いという判断で授業を休んでまでもカウンセリングを行なうが、それがあまり増えると、進級にさしつかえる。心理的に落ち着いても進級できないとなっては、何のためのカウンセリングなのか分からなくなってしまう。このあたりが、学校、特に義務教育ではない高校でのカウンセリングの難しい点である。もっともっと、学校、いや社会全体が、いろいろな意味で「何でもあり」という考え方を受け入れられるようにならないと、いつまでたっても大きな改善はないと思われる。
今年の4月から、やはり市内の中学校で「心の教室相談員」として、週に2日、半日ずつ勤務している。この制度は昨年の9月から始まったもので、正式には「心の教室相談員活用調査研究」という、国費による市への委託事業である。桐生市の場合、中学校12校のうち9校に派遣されている。では他の3校はどうなのかと言うと、平成7年度から実施されている国費によるスクールカウンセラー派遣事業によって臨床心理士等が勤務している学校が1校、県費による生徒指導担当嘱託相談員(週5日勤務)が派遣されている学校が2校だ。さらに桐生市の場合は、市費による学校カウンセラーという制度があって、8人が委嘱され、10校(1人で2校担当してる場合がある)に勤務している。つまり、現状では、4通りの相談員、カウンセラーと称される外部の人間が学校内で生徒や先生と関わっているのだ。
思えば、これまで、とかく閉鎖的だと言われていた学校も、公立中学校に限っては、そういった意味で、だいぶ開放的になってきたのではないだろうか。ただ、一つの問題は、カウンセラーに委嘱される人たちが、ほとんど校長経験者など、教員出身であることだ。それ自体が悪いとは言わないが、それだけではバランスが悪いと思う。学校という立場ではない(なかった)人たちがもっともっと入って行かなければならないだろう。そう言った意味で、一般の人が多い「心の教室相談員」は期待できるかも知れない。そのかわり、教育やカウンセリングに関しては素人の人が多いので、それだけではまたバランスが悪い。また、現状では、それぞれの勤務日が違っているので、打合わせや連携がとりにくい。理想を言えば、常時2人勤務が良いのではないだろうか。すると予算が必要になってくる。いずれにしても、今のままでは中途半端で、さらに大きな効果は期待できないだろう。しかし、先程も書いたように、これらの制度がきっかけになって、学校に教員以外の人たちが出入りする機会が増え、風穴があけられたことと、これまでは保健室の先生が主に任っていた「よろず相談係?」を、複数で担当できるようになったことは大きな前進だろう。この制度があることを、生徒はもちろんのこと、保護者や地域の人たちに知ってもらって、もっともっと活用してもらいたい。それと並行して、私たちも期待に応えられるようにレベルアップを図らなければならないだろう。
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