|
|
 |

 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
元来、江戸前鮨は生食では無かったことは「光物の魚」でご紹介しましたが、「煮物・玉子焼」などの鮨ネタも、
低温技術、流通経路が、未発達な頃の時代に誕生したもので、魚介類を保存させる技術の一つでした。 近年は、様々な技術の向上により、鮨の生食化が定着しましたが、保存食としての、「煮物・玉子焼」は生とは違った味、
また、生をもっと美味しく食べる手段として、現在の江戸前鮨に継承されています。 「光物の魚」同様に、鮨店の板前の個性が鮨に反映されるネタで、その店の技術をはかる大きな目安にされます。
ここでは鮨店の「名刺代わり」ともいえる「煮物・玉子焼」、を紹介します。

|
|
 |
鮨店で「煮物」というときには、加熱調理(正しくは湿加熱調理)がしてあるだけでなく、煮詰めを塗るものを指します。
魚介類という、その日によって品数の変動の激しい材料を扱っていくには、一つの材料を生・酢・煮物と、 いく色にも使いこなして、品数が少ないときに効果的にメニューの幅を広げる知恵が要求されます。
「煮物」が江戸前鮨に定着したのは、それらが漁業の制約からくる厳しい現実の中で、優れた活路になったからでしょう。
煮たり焼いたりする調理は、いうまでもなく、食べ物を長持ちさせる保存の技術であり、消化の面でも、 多くの場合生より優れています。また、加熱によって生の時の癖がまるめられるので、広い客層に味わっていただけます。
加熱にともなう味つけによって、店の個性を発揮できる強味もあります。

 |
 |
マアナゴ(真穴子) |
旬:
別名:
主な産地: |
夏
アナゴ・ハカリメ
東京湾・常磐沖・瀬戸内海 |

マアナゴは、アナゴ類の中ではいちばん味の良く、煮物ネタの代表格です。 季節によって、味が極端に変わることがなく、大量にとれる夏を旬としています。
主に湾内の砂泥地にすみ、昼間は泥の穴の中に潜っていて、夜になると活発に動き回り、餌をあさります。
冬場は100mもの深場に移り、産卵が行われ、早春には木の葉状の幼魚(ノレソレ)が地引網漁に掛かります。
白身で淡白な味ですが、脂肪分が多いため味は良いです。 ウナギやハモと同様に、血液中に弱いタンパク毒を含むので、生食は危険です。
鮨以外の食べ方では、天ぷら、椀だね、蒸し物なども美味です。 |

 |
 |
シャコ(蝦蛄) |
旬:
別名:
主な産地: |
4月下旬〜夏
ガザエビ・シャク
北海道から沖縄の内海、湾内 |

エビやカニなどと同様の、海産甲殻類の一種で、エビとも昆虫とも容姿できない、奇妙な外形をしています。
見た目はエビに劣るものの、味はすこぶる良く、特に卵を抱いている子持ちシャコは、エビを凌ぐ味といわれます。
子持ちシャコの卵巣のことを、「カツブシ」と呼び、好んで食す鮨通もいます。 変わった呼び名では、「ガレージ」。シャコを駄ジャレで車庫と解釈し、これを英語に訳してガレージなどという事もあります。
鮨以外に天ぷらが美味です。高級ネタの一つで江戸前のものを最上とします。 |

 |
 |
ハマグリ(蛤) |
旬:
別名:
主な産地: |
冬〜春
北海道以南の内湾干潟 |

ハマグリは、古代の貝塚から沢山の殻が発見されている事から、昔から食用にされていたことがわかります。
近年は養殖物と輸入物に頼っているのが現状で、国内産の約15倍の輸入がされています。 輸入先は、中国が大半で、多くは三重の業者に引き取られ蓄養されます。
上品でしかも強い旨味があり、身も大きいので食べ応えがあります。 鮨以外では、酒蒸し、吸い物、潮汁などが代表的な食べ方で、川崎名物のハマ鍋は、むき身を白味噌仕立てで煮たものです。
|

 |
 |
煮イカ |

現在では、イカは生で使うのが普通になってきましたが、昔は、煮物として扱われるネタの一つでした。
さっと煮たイカを切りつけて、鮨を握るほか、五目(かやく)飯を筒づめにした印籠詰めなども良く行われます。
煮イカに使われるイカは、主にスルメイカ、ヤリイカなどが用いられました。
ゲソ イカの足の名前で、軽く湯がいて食しました。イカの身とは違った、味、歯ごたえがあり、美味です。
スルメイカ、ヤリイカなどの活け物は、ゲソも生で美味しく食べられます。 |

 |
 |
煮ホタテ |

主産地の東北・北海道地方では生のまま鮨にすることが殆どですが、東京をはじめ他の地方では、 軽く煮て、だし汁に漬け込んだものを握りました。生と違う食感、旨味が味わえます。 |

 |
 |
蒸アワビ |

冬場の貝の煮物ネタのハマグリに対し、夏場の貝の煮物ネタの代表格で、昔から存在しました。 仕込みの工程は、他の煮物同様、茹でてから煮汁に漬け込んで使いました。
食感は、生のアワビがシコシコとした歯ごたえと対照的に、非常に柔らかく、全く別の美味しさです。 茹でたアワビの肝も美味で、一緒に握って食すと最高です。 |
 |
 |
タコの桜煮 |

生のタコを長時間だし汁で煮込むことで、簡単に噛み切れるほど柔らかく仕上げた物です。 煮上がった状態の色が、桜の色に似ている所から「桜煮」と呼ばれます。
生ダコ、茹ダコとは、又一味違ったその旨味は、職人の技術の傑作ともいえる代物です。 |
|
 |
 |


 |
玉子焼は、光物、煮物とともに、昔から江戸前鮨の基本をなす仕事で、欠かすことの出来ない鮨ネタの一つです。
味付けが複雑なうえに、焼き上げの技術も難しいところから、「玉子焼を食べれば、その店の鮨の良し悪しがわかる」と、
いわれる所以です。それだけに各店の個性が最も表現できる鮨ネタと言えます。
現在、鮨店で使う玉子焼は、大別して、生身(魚のすり身)を入れる厚焼き玉子と薄焼き玉子、 生身を入れぬだし巻き玉子と薄焼き玉子、の四種に分けられます。

 |
 |
厚焼き玉子 |

厚焼き玉子は、現在市販されている厚焼き玉子に似たもので、昔の鮨店で一般的に焼かれていたのは、厚焼き玉子でした。
加える魚の生身(魚のすり身)の種類によって、味の変化があり、各店の個性を表現してます。 その基本は、生身が良く混ざり、玉子がもろもろにならぬよう、弱火で、ふっくらと弾力ゆたかに焼き上げることにあります。 |

 |
 |
薄焼き玉子(生身入り) |

厚焼き玉子の材料の分量を少なくし、薄く焼き上げた物です。
東京では、鮨店用に売られている即製のの生身入り薄焼き玉子を「河岸玉」と呼んでいるそうです。 |

 |
 |
だし巻き玉子 |

だし巻き玉子は、もともとは日本料理の仕事であるために、鮨店ではほとんど使われませんでした。 しかし近年、鮨店にぽつぽつと数を増してきて、自家製玉子焼は、昔とは逆に、だし巻き玉子が主流をなしてます。
このような傾向は、市販品の厚焼き玉子の平均化された味を嫌い、その店独自の味を、 だし巻きで工夫しているだけに、伝統の真の継承をうかがえます。 |

 |
 |
薄焼き玉子(生身ヌキ)
|

生身を入れぬ薄焼き玉子は、ふつうに切って握る以外に、柏玉子といって(玉子の柏づけともいう)、 鮨飯を柏もちのように包むやり方でも使われました。今日では、ごくわずか鮨店に、その伝統が生きています。
厚さが、3〜5mm程度に焼くので、ひっくり返すのに、薄くて壊れやすいので、なかなか難しい仕事であったそうです。 |
 |
 |
 |

|
|